画材

水彩紙は画用紙とちがうの?水彩紙の基本

絵を描くための紙はひろく画用紙とよばれます。そのなかでも、透明水彩ではとくに「水彩紙」という特別な紙をつかいます。水彩紙は価格の差が大きく、紙の質が絵の仕上がりに大きな影響をあたえます。水彩紙えらびの参考になるように、水彩紙の基本をお伝えします。

水彩紙の基本

水彩紙とは

透明水彩の水を多く使う技法に合わせて、専用に作られた厚い紙です。絵具がすぐに吸収されないように処理が施されています。その処理を、にじみ止め・ドーサ処理・サイジング(サイズ処理)などと呼びます。

施された処理によって、水彩紙の上で絵具と水が遊ぶ時間がうまれ、特有の美しいぼかしやグラデーションがあらわれます。

原料

コットン(綿)やパルプ(木材)が多いです。その他に竹や麻、ケナフという植物などが使われます。コットン100%が最上といわれています。

厚さ

1平方メートルあたりのグラム数であらわします。単位:g/㎡、gsm(Gram per Square Meter)

300g/㎡(=300gsm)あればほとんどの水彩技法にたえられます。300g/㎡以下の水彩紙は、使う水の量が少ない水彩デッサンや水彩スケッチなどに使われます。

製法

モールドメイドが最高級といわれています。モールドメイドとは、手漉きにちかい紙を機械でつくる製法で、丸網抄紙機(まるあみしょうしき)という機械が使われます。

ホワイトと、やや黄色がかったナチュラルホワイトがあります。メーカーによって名称がことなります。

肌目(きめ)

表面の凹凸の肌目によって種類分けされます。同じ種類でもメーカーによって差があります。おもに次の3種類です。

細目(ホットプレス Hot Press) 表面がなめらか 細い線などこまやかな表現にむく
中目 (コールドプレス Cold Press、ノット Not) 細目と荒目の中間
荒目 (ラフ Rough) 表面があらい かすれた線などの大らかな表現にむく

形態

さまざまな形態があり、用途によって使いわけられます。形態によって水張りがいらないものや、使う水の量が少ない水彩スケッチなどに向くものがあります。

ロール


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ロールは大型の水彩紙を丸めたもので、一番大きいサイズです。好きな大きさにカットして使います。

ブロック


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ブロックは四辺がのり付けされている水彩紙で水張りが不要です。絵が乾いた後、ペーパーナイフなどで剥がします。

本とじ・無線とじ


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本とじまたは無線とじとよばれる長辺の一方がのり付けされている水彩紙です。

パッド


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パッドは短辺の一方がのり付けされている水彩紙です。

スパイラル・スプリング


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スパイラルまはたスプリングよばれる一辺がコイルでとじられている水彩紙です。

シート・カット


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シートまたはカットとよばれるバラの水彩紙です。全紙とよばれる大きなものからハガキサイズまで、多様なサイズがあります。

サイズ

F号

絵画のサイズは「号」であらわします。同じ号数でもF(Figure/人物)、P(Paysage/風景)、M(Marine/海景)、S(Square/正方形)の規格があります。水彩画ではおもにF号をもちいます。SM はサムホール(thumb hole)と読みます。

F号 単位:㎜ 比較用紙サイズ 単位:㎜
SM 158×227
F2 190×240 B5 182×257 ノートサイズ
F3 220×273 A4 210×297 A4コピーサイズ
F4 242×333 B4 257×364
F6 318×410 A3 297×420

四つ切(よつぎり)・八つ切(やつぎり)

もとになるサイズを全紙といい、全紙を四つに切ったものが四つ切、全紙を八つに切ったものが八つ切です。全紙のサイズによって大きさが変わります。

以上、水彩紙の基本をお伝えしました。水彩紙えらびの参考にしてみください。