画材

筆はどんなふうに選んだらいいの?筆の選び方の基本

透明水彩の筆はいろいろあって選ぶのに迷います。実際にためすことができればいいのですが、なかなかそうもいきません。初心者の方が自信をもって選べるように、ポイントをしぼって筆の種類や特徴、選び方をお伝えします。

筆は「形」×「素材」できまる

筆えらびで大事なのは自分に必要な筆の「形」と「素材」を見きわめることです。描きたい絵のタッチは人それぞれなので、自分が求める形と素材を知ることでぴったりの筆が見つかります。まずは筆の形について見ていきます。

筆の「形」はおよそ3種類

筆の形はおおまかに3種類にわかれ、それぞれ違う線がかけます。線の違いは、そのまま絵の表現の違いにつながります。ふつうは用途によって使いわけられますが、プロのなかには特定の形の筆一本で仕上げる方もいます。

オールマイティな「丸い形」


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毛が円にまとめられている筆は「丸筆」もしくは「ラウンド」とよばれます。曲線がかきやすく、どちらの向きに動かしても同じ線になるので扱いやすいです。

最初にそろえるのは丸筆の8~10号くらいの中サイズがいいとされ、透明水彩でもっともよく使われます。

広い面や直線は「平らな形」


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平たい筆は 「平筆」もしくは「フラット」とよばれます。動かす向きによって形の違う線がかけます。角ばった部分やシャープな直線がかきやすいです。広い面を早く均一にぬるのによく使われます。

ツウ好みの「丸と平らの間」


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先のとがった平筆は「オーバル」もしくは「キャッツタン(猫の舌)」とよばれます。丸筆と平筆の特徴をあわせもっていて、毛先で細かいところを、根本で広い面がぬれます。扱いに慣れが必要です。

筆の「素材」は4つの特徴で見きわめる

水彩筆の素材はおもに動物の毛をつかった天然毛と、人工の合繊繊維に分けられ、素材ごとに特徴があります。特徴は次の4つ、 水の含み弾力(コシ)毛先のまとまり価格 でとらえるとわかりやすいです。

3つの特徴をあわせ持ったバランスのよい素材も紹介します。自分にあった筆をさがします。自分が求める筆を知るため、特徴をもとに素材を見ていきましょう。

特徴1 水の含み

水の含みとは、筆がどれだけ水(絵具)を含めるかの容量です。水の含みがよいと、技法の途中で塗り足しせずにひと息で塗れます。

水の含みがよいのは「リス」


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リスはとても水の含みがよくやらわかい素材です。リスをつかった筆は羽管筆(うかんふで)が有名です。

特徴2 弾力(コシ)

弾力(コシ)とは、筆が真っすぐな形をたもつ強さです。筆が紙をはなれるときに真っすぐに戻れば、いちいちパレットで筆の形をととのえる必要がありません。

弾力(コシ)があるのは「リセーブル」


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リセーブルは、セーブル(テンなどのイタチ科の動物毛)の使いごこちに近づけるようにナイロンに特殊加工をしたり動物の毛を混合した筆です。

メーカーによって工夫がこらされ、リセーブルやノルム・インターロン・ネオセーブル・PCセーブル等さまざまな名前がつけられています。

特徴3 毛先のそろい

毛先のそろいとは、水を含んだときの筆先の尖り具合です。購入前の筆はノリで固められているためどれも毛先がそろって見えますが、実際とは異なります。毛先のそろいが良いと、毛筋まで塗れます。

毛先のそろいがよいのは「羊毛(ヤギ)」


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羊毛はヤギの毛を指します。書道の筆などで使われることが多く、水彩には彩色筆が人気です。毛がそろって先がとがり細密な絵がかけます。

特徴4 価格

価格は素材の種類や質によって大きくかわります。素材が高級で品質のよい筆は高いですが、絵をかくうえで筆になにを求めるかを見きわめると値段をおさえることができます。

価格が安いのは「馬」


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馬はリーズナブルで、よく学童用の筆につかわれています。

3つの特徴をあわせ持つ素材

水の含み・弾力(コシ)・毛先のまとまり、すべてにすぐれたバランスがよい素材を紹介します。そのぶん高価格です。

バランスがよいのは「セーブル(テンなどのイタチ科の動物毛)」


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セーブル と コリンスキー(セーブルのなかでも上質毛)は透明水彩にもっとも適した素材といわれます。

以上、筆のおもな素材をあげました。コシの強い鹿毛を芯にした羊毛の筆など、複数の素材をつかったものもあります。

同じ素材でも質はピンキリですのでおよその目安にしてください。筆の「形」と「素材」を知り、選ぶさいの参考にしていただければと思います。